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<Claris Forte>巡航日記 素敵な出会い、新しい発見の旅

写真・文 中野誠・美千穂

 西宮岡山宇野大三島大崎下島佐多岬三机宇和島土佐清水高知~大阪湾

 ~須磨~仙酔島~広島~中島

 中島~広島~萩~対馬~ハウステンボス

 ハウステンボス~新門司~大津島~西宮

■今回巡行した島と港(地名をクリックして地図データをご参照ください)
新西宮ヨットハーバーレジアマリーナ宇野港大三島大崎下島佐多岬三崎漁港宇和島港
土佐清水漁港高知港

第一回 旅立ち

はじめに

 ヨット、とくに、外洋ヨットに乗っているセイラーなら、誰もが日本の美しい島々、湊々を巡りたいという夢がある。波ひとつ立たない静かな入り江や湾港奥の岸壁にフネを舫い、地元の漁師さんとふれあい、美味しい肴に舌鼓をうち、酒を酌み交わしながら心地よい揺れに身体をあずける…いままで訪れた湊は100を超え、そんな湊々を巡りながら、至福のヨットライフを楽しみ、人生を謳歌する素敵なご夫婦がいる。


中野誠、美千穂ご夫妻

 中野誠(なかのまこと)さん、本業は歯科医師である。
 大阪生まれで、地元大阪の歯科大学に入り、学生時代はヨット部で大活躍した。
 卒業後もヨットの魅力から離れられず、歯科医院勤務の傍ら数々のヨットレースに参加、レース界ではその名を知られるセイラーとなった。とくに、J24クラスでは愛艇<Claris>で数多くのレースに参戦、全日本大会ではつねに上位に名を連ね、海外遠征したJ24世界選手権でも欧米のトップセイラーと闘って好成績をあげた経歴の持ち主だ。そんな中野さんは美千穂夫人とともに、いま、日本の湊を巡る旅をつづけている。
 昨年は、愛艇<Claris Forte>(Y31フェスタ)で、新西宮ヨットハーバーから瀬戸内海、四国、九州を巡り、ヨットレースに参加したり、地元ヨットマンとの交流を深めたり、湊々の美しい景観を楽しんだりと、充実したヨットライフを過ごしている。
 さて、中野さんと<Claris Forte>は、どんな素敵な出会い、新しい発見に遭ったのだろうか。


旅立ちの朝

(4月7日)

 本日、2014年4月7日、ホームポートの新西宮ヨットハーバーを出港する。
 今年もまた、数か月の旅に出かけます。西宮の朝日とも暫くお別れです。


岡山から宇和島へ

(4月25日)

 この週末は4連休にして、岡山のレジアマリーナを出港。宇野港、大三島、大崎下島、佐多岬の三机港、三崎漁港を経由して、やっと宇和島港に到着した。
 27日は一日中走って、日暮れ前に三机港に到着。もうほとんど人影もなく、直ぐに就寝。
 28日は後半にかけて荒れるとの天気予報なので、予定していた日振島行きを断念して、早朝に出港し佐多岬をまわり込んで三崎漁港に昼前に到着。南東の風の予報だったので、西に開けたこの港は安心だろう、と思って入港したが結構うねりが入るうえにブローも入ってきて大変。
 今朝は、夜明け前に風が北東に振れたので、この機会を逃さず、日の出前の早朝5時に出港。上手く風のシフトを拾いながら宇和島港に11時には無事到着。イルカと宇和島の皆さんの歓迎を受け、先に到着していた高松の<じゃっど>に横抱きさせてもらい一安心。
 ここ宇和島港にはヨットが10隻程度しかおらず、きちんとしたハーバーも無いので、ヨットはあちらこちらにばらばらに係留しているそうです。それなのに、“宇和島パールカップ”には、エントリーリミットの50艇の参加申し込み有り。50艇の参加制限は、漁船を退かしてまで確保しなければならない停泊地の問題か…
 街中、あちこちに“宇和島パールカップ”のポスターが貼ってある。
 今日は、いちど家に帰って、3日に再度宇和島入りし、パーティーとレースを楽しみます。



宇和島港に入港し<じゃっど>に横抱きしてもらう
夜明け前、雨の降る佐多岬の三崎漁港を出港し、
木漏れ日のさす宇和島港を目指す

●メモ
宇和島港泊地情報
・係留場所:きちんとしたハーバーなし。宇和島ヨットクラブのメンバーに連絡すれば対応してくれます
・係留料:無料
・給油給水:停める場所にもよりますが可能(比較的容易)
・食糧:街に近いので容易に確保できます。店も多い
・風呂:街中に銭湯1軒

編集部注:泊地情報はあくまでも参考データです。詳しくは各艇でご確認願います。
また、泊地情報をより正確なデータとするために、泊地に関する追加の情報等あればぜひ編集部までお寄せください。


只今、宇和島パールカップ受付中

(5月3日)

 クラブハウスなんて無くても、係留艇のすぐ横で出張受付。
 入港してくる船を案内しながら家族ぐるみでお迎えしてくれます。“宇和島パールカップ”に参加するレース艇が集まってきました。ヨットから出たごみも軽トラで回収してくれます。各艇に配られた案内のなかには宇和島市指定のごみ袋も完備していました。


静かな土佐清水漁港にて

(5月5日)

 宇和島での楽しいレースも終わり、親しくなった高松の<じゃっど>や宇和島の<Aiyumma>とお別れし、朝6時に宇和島港を出港。今回のレースでは、同型艇の新門司の<大海言>や周南の<ブルーノート>とも知り合いになり、久しぶりにキングセールの庄崎さんともゆっくりお話し出来た。この後、レースに参加予定の広島水域の皆さんにも挨拶できたし、知り合いがどんどん増えて、名前を覚えるのが苦手な僕は嬉しい悲鳴を上げています。
 出港後は、高知の<だるま>号に先導してもらい、細木水道(桁下16m、幅10数m)、船越(桁下19m、幅10数m)と、地元の船に先導してもらわないと絶対に通れないような所を次々と通過。四国西岸を南下しながら沖ノ島付近まで来た辺りで、岸寄りに進路をとり、すぐ近くまで寄って綺麗な岩肌を見上げるように観覧しながら16時に無事土佐清水漁港に到着した。
 先導案内してくださった、<だるま>の皆さん、有難うございました。
 島と島の間を縫うように進みながら、綺麗な眺めを見ながらの回航は、天気には恵まれなかったものの、これほど楽しかったことはいままでに無い。
 家内いわく、“ディズニーランドより面白い”天気が良かったらもっと綺麗だろうな。ぜひ、もう一度訪ねたいと思います。

<だるま>号に横抱きして係留中の<Claris Forte>。久しぶりに揺れないなかで安眠できます

●メモ
土佐清水漁港泊地情報
・係留場所・係留料・給油給水・食糧・風呂・洗濯:ここはいずれも徒歩圏内で確保できます。漁港なので係留料は無料

編集部注:泊地情報はあくまでも参考データです。詳しくは各艇でご確認願います。
また、泊地情報をより正確なデータとするために、泊地に関する追加の情報等あればぜひ編集部までお寄せください。


本日、無事高知ヨットクラブに到着

(5月6日)

 今日はまさに回航日和でした。朝6時に土佐清水漁港を出港。出港時は北の風20~25ノット。
 追手~アビームで順調に足摺岬を回航。回航後もクローズ・リーチで快調に走るも、しばらくすると徐々に風が落ちてきてほぼ無風状態に。後は、ひたすら高知港に向かって機走であと50マイル。
 夕方5時に、無事、高知ヨットクラブに到着しました。
 入港した時には、宇和島のヨットレースで優勝した<パル>のオーナーやヨットクラブの皆さんに舫いを取っていただき、 <だるま>のオーナーにはお風呂まで車で送っていただき感謝。最後まで本当に有難うございました。
 <Claris Forte>は、この高知で今週末までお休みします。

●メモ
高知港泊地情報
・係留場所:高知ヨットクラブの桟橋
・係留料:無料(ただし1艇しか停泊出来ないので、あらかじめヨットクラブに予約が必要)
・給油給水・食糧・風呂・洗濯:ハーバー傍にはないので、車、バス等での移動が必要

編集部注:泊地情報はあくまでも参考データです。詳しくは各艇でご確認願います。
また、泊地情報をより正確なデータとするために、泊地に関する追加の情報等あればぜひ編集部までお寄せください。