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<Claris Forte>巡航日記 素敵な出会い、新しい発見の旅

写真・文 中野誠・美千穂

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 ハウステンボス~新門司~大津島~西宮

■今回巡行した島と港(地名をクリックして地図データをご参照ください)
壱岐芦辺港対馬仁位漁港壱岐郷の浦漁港九十九島パールシーハーバー大津島馬島漁港

第五回 壱岐・対馬に向かって

 8月11日、朝5時に小戸を出港し対馬に向かったが、家内が体調不良で、壱岐の芦辺港に入港した。フェリー乗り場の桟橋の右側が係留可能で、許可はターミナルビル2階の事務所で。係留費は一泊<フォルテ>で162円と安い。風呂も徒歩10分程度、レンタカーは目の前でスーパーも徒歩5分程度。トイレはフェリー乗り場にあり、食事も徒歩圏内に海鮮や壱岐牛を始め数件ある…など、至れり尽くせりの係留場所です。

●メモ
芦辺港泊地情報
・係留場所・係留料・給油給水・食糧・風呂・洗濯:?


無事、対馬に着きました

 8月12日、無事、対馬に到着しました。万関瀬戸から浅茅湾に抜けて、その入江の奥にある仁位漁港の渡船桟橋に係留させてもらいました。さすがに、ここまで来ると国境が近く、看板にも密航、密貿易なんて文字が…今日は、ここでゆっくり流星群でも見て休みます。


●メモ
対馬仁位漁港泊地情報
・係留場所・係留料・給油給水・食糧・風呂・洗濯:係留料無料(正確には申請、わずかな支払いが必要かも…)。周りにお店は何もありません

編集部注:泊地情報はあくまでも参考データです。詳しくは各艇でご確認願います。
また、泊地情報をより正確なデータとするために、泊地に関する追加の情報等あればぜひ編集部までお寄せください。


壱岐郷ノ浦漁港に到着

 8月13日、朝、少し寝過ごし7時30分に対馬を出港。われわれより10分程度先に出港した渡船が前に現れては入り江に消えていき、また現れて違う入り江に消えて行く。最後は浅茅湾の半ばで横に並びそこでお別れ。湾を出てからは、壱岐に向けてひたすら走るのみ。対馬の島陰を出てちょうどいい横風を受け機帆走で快調に走り、日暮れ前に壱岐の郷ノ浦漁港に無事着いた。
 しかし、桟橋がいっぱいで他の停泊地に移ろうとしたら、ニュージーランドから来た<Avant Gard>(Dickson60)のオーナーの好意で同艇に横抱きさせてもらい無事に係留することが出来ました。
 そして、港湾管理者に係留費用216円を支払って無事に入港手続きが終了。
 後片付けが終わると、<Avant Gard>からビールのお誘い。桟橋の反対側に泊めていた<阿吽>のオーナーも交えて楽しいひと時を過ごした。<阿吽>のオーナーは、以前は新西宮ヨットハーバーに愛艇を係留していて、いまは沖縄をホームポートに、日本中を航海しているクルージング仲間の間では結構有名なひとです!その後、自転車で近くのビューホテル壱岐のお風呂(500円)で汗を流し、夕食を済ませた後、早めの就寝で一日が終わる…

ニュージーランド艇<Avant Gard>(Dickson60)とのふれあい

●メモ
壱岐郷の浦漁港泊地情報
・係留場所・係留料・給油給水・食糧・風呂・洗濯:係留料は数100円程度。係りの方が徴収に来てくれます。お風呂、食事は徒歩だと20分程度…自転車があれば便利です

編集部注:泊地情報はあくまでも参考データです。詳しくは各艇でご確認願います。
また、泊地情報をより正確なデータとするために、泊地に関する追加の情報等あればぜひ編集部までお寄せください。


今週末はハウステンボスカップ

 壱岐で横抱きさせていただいたニュージーランドの<Avant Gard>とお別れし、一旦福岡に戻り、今週末はハウステンボスカップに参加する。

 8月24日(土曜日)早朝、夜行バスでハウステンボス到着。久しぶりの夏空に、湿った荷物をデッキにひろげて天日干し。その間に恒例の船底磨き、そして軽油の補給と、やることがいっぱいある。午後3時過ぎにはようやく一段落つき、ハウステンボスを少し見学してから艇長会議に向かう。
 夜はハウステンボスの花火大会。今回は桟橋の先端だったので花火見物には最高の位置、特等席でした。
 翌日のレースは、昨年同様、朝から雨模様。“ハウステンボスカップ”と云えば、夏空のもと、軽風でのノンビリレースを想像していたのに…
 翌週、土曜日の午前中は針尾瀬戸の潮が悪く、大村湾から出られない恐れがあったので、フィニッシュ後、レース結果も見ずに、佐世保湾を出てすぐのところにある九十九島パールシーハーバーへ回航。
 途中の針尾瀬戸では潮に乗り最高13ノットを記録してご機嫌に走る。パールシーハーバーへ行く直前は島や暗礁の間を抜けて行くので、GPSとにらめっこでようやく入港。でも、入ってしまえば安心な港です。
 ここは観光地でもあるので佐世保駅までのバスもいっぱいあるし、食事もOK。ハーバーの前には天然温泉もあります。そこで、ゆっくりと食事をし、お風呂を済ませて、今週も家路に着く。
 長い遠征も終盤、来週からは少しずつ、ホームポートへ帰ります。


九十九島パールシーハーバー

左手奥の赤い観覧船(もう一隻白い観覧船も走っています)の後ろに付いて入港すると安心

●メモ
九十九島パールシーハーバー泊地情報
・係留場所・係留料・給油給水・食糧・風呂・洗濯:係留料は<フォルテ>で一泊2,500円程度。給油・給水はハーバーで可能(?)…(要問い合せ)。食事・風呂は徒歩圏内

編集部注:泊地情報はあくまでも参考データです。詳しくは各艇でご確認願います。
また、泊地情報をより正確なデータとするために、泊地に関する追加の情報等あればぜひ編集部までお寄せください。


新門司マリーナから大津島へ

 9月7日。金曜日に仕事を終えてから出発し、新門司マリーナには真夜中に到着。<フォルテ>で船泊し、翌朝、軽く船底磨きをして、12時に出港。出港後はアビームの風。雨に降られることもなく18時過ぎ、無事に大津島馬島漁港に到着。港では周南ヨットクラブのメンバーが来週開催されるレースの外来艇受け入れの準備中で、<フォルテ>は到着第1号艇として大歓迎を受ける。
 翌日の朝食時に、昨夜、宇和島を出港した<ホワイトホーク>が到着。しばらくすると、今度は周南の<ブルーノート>が到着。その後も、周南からモーターボート、<ピンクパンサー>も混じって5艇横抱きで昼間から宴会が始まり、昼過ぎまで、楽しく過ごして解散。一昨年、<フォルテ>で遠征し始めた頃は、ほとんど、知り合いがいなかったのに、今年の“周南ピースカップ”では、半数以上が仲間となった艇です。周南ヨットクラブの皆様、運営ご苦労さまです!係留場所の件もいろいろと有難うございます。来週のレースが楽しみです。
 せっかく、大津島(回天の島)に来たので“観光”をと、回天記念館を訪問。平和な現在にあらためて感謝し、定期船に乗って島を後にしました。
 その定期船ですが、大津島の幾つかの港を巡り徳山港に向かうのですが、この定期船の航路は風光明媚なところを行くので、まるで遊覧船のようです。でも、定期船航路には暗礁がいっぱいなので、瀬戸内海を走るには海図が絶対必要と再認識した次第…
 最後にお得な情報をひとつ。
 帰る前に“徳山駅周辺で食事”をと思って立ち寄った“鮮味食彩 宇佐川水産”で、2名様からのお得コースを頼んだのですが、これが、本当にお得感いっぱいメニューで、ひとり2,600円コースに+500円でご飯ものと味噌汁、デザートが付き、質・量ともに大満足。
 徳山にお出掛けの際には、ぜひ、お立ち寄りください。

大津島馬島漁港の<クラリスフォルテ><ホワイトホーク><ブルーノート>

●メモ
大津島馬島漁港泊地情報
・係留場所・係留料・給油給水・食糧・風呂・洗濯:漁港なので係留料無料。岸壁は大潮の際、水に浸かってしまうので干満差の大きい時は満潮時係留不可。桟橋の空いているところに係留するのが無難です。周りには何もなし。徒歩数分で回天記念館があり、そのすぐ手前に小さな店が一軒あり。飲み物くらいは買えるかな(?)という感じです

編集部注:泊地情報はあくまでも参考データです。詳しくは各艇でご確認願います。
また、泊地情報をより正確なデータとするために、泊地に関する追加の情報等あればぜひ編集部までお寄せください。


レースの本部艇は自衛艦です!

 9月15日。この週末は“周南ピースカップ回天記念レース”に参加します。
 土曜日の朝、大阪の自宅から新幹線で徳山へ。宇佐川水産で美味しい昼食を食べ、その後、定期船に乗って綺麗な景色を見ながら、午後2時近くに大津島に到着。到着後、直ぐに恒例の船底磨き。先週と違い、今週は漁港にレース参加のヨットが溢れています。
 その後、続々とヨットが入港してくるのに混じって、なんと、自衛艦(不発弾処理艦)も入港。
 今度のレースはこの自衛艦が本部船です。夕方から始まったパーティーも友人がいっぱいで、あっという間に時間が過ぎていきます。パーティーの後は、周南ヨットクラブのボランティアの皆さんが車でお風呂送迎。その途中、皆さんが声を揃えて、“今年いちばんの夕日”というほど、綺麗な夕日も見られました。
 翌日はレース本番です。朝、昨夜のパーティー会場にて艇長会議。そして、島の裏側の回天発射場の沖に設置されたスタート海面に。しかし、風が無い。それでもソヨソヨ吹き出した風のなかでスタートし、綺麗な景色を眺めながらのレースがあっという間に過ぎて行きます。われわれは最初のレグで出遅れてしまい、上位入賞はできませんでしたが、それでも最後まで楽しくレースをさせていただきました。レース後のパーティーも、前日同様、周南ヨットクラブのメンバーがボランティアでもてなしてくださり、こんどの遠征で知り合った高知や宇和島、長崎、新門司、広島、室津、周南など大勢の仲間との会話は尽きることなく、本当に楽しい時間を過ごさせて戴きました。
 翌日は4:00起床、4:30に出港。しばらく走るうちに夜が明けだして、昨日と違って、今度は美しい朝焼けを眺めることが出来て感激もひとしお。その後も順調に走り、追潮にも乗って午後2時半には観音マリーナに無事到着。 今週も無事帰途に就きました。

長閑な良いところですが、戦時中はここが特別攻撃隊“回天”の基地でした

周南ピースカップの艇長会議風景

本部船の自衛艦。表彰式ではこの自衛艦の乗員によるラッパの演奏や手旗信号も披露されました

大津島馬島漁港に集まったレース艇

大津島から見る夕日